安定性の上げ方

発声がブレてしまう原因は沢山ありますが、ここでは当てはまりやすいいくつかの事柄に絞って対策を練っていきます。

 

① 声の当たり所が安定しない/中途半端な所(喚声点等)に当ってしまう

② 吐く息が揺れてしまう

③ 出だしや音の変わり目で音程が定まらずブレてしまう

④ 口の開け方や舌の位置などが伸ばし中に変わってしまいブレてしまう

 

 

それぞれの対策として

 

① この項目が当てはまる方が恐らく一番多いです。声を当てる(鳴らす/共鳴させる)場所が安定しないか、あるいは適していない場所に当ててしまっている事が原因で、声帯の閉鎖が安定しなく声がブレてしまいます。

声を当てる場所として

 

リップロールをして声が当たる場所

ハミングで声が当たる場所

 

このどちらか(どちらも同じ場所に共鳴させて/当てています)の意識で声を集めるのが基本にはなります。

ですが人によっては他の発声法の方が安定する場合があったり(僕がまさにそうなのですが)、あるいは上記2つのやり方が悪いため(その場合大抵の方が喉が締まっています)適した場所に当たらない時もあります。

 

この意識で改善されない場合、もし気になる様なら一度当スクールの体験レッスンにお越し下さい。

声の当て場所のコントロールは一人で練習するには少し難しいので、体験レッスンで一緒にコツを掴んで頂ければと思います。

 

② 先の項目の次に多い原因がこれです。多くの方はこの2つの原因のどちらかによって発声のブレを引き起こしています。

吐く息が揺れる、つまりロングブレスの安定感が足りない事により声量や音程が不安定になります。

練習法としては

 

「ロングブレス練習」

 

これに尽きるかと思います。

ですが、このロングブレスもただやるだけではあまり意味がありません。ロングブレスをやるにあたり

 

・しっかり腹式呼吸が出来ているか

・吸う息の量は適切か(足りない場合はもちろん、あまり吸い過ぎても安定しません)

・息の当て場所は適切か、また一定の場所に当たっているか

 

この辺りは最初に意識して練習に挑んで下さい。

 

ロングブレス練習メニュー

 

具体的なロングブレスメニューとして

「少しゆっくりなテンポ(メトロノームがある方はBPM100程度)で、7拍吐いて1拍吸う

まずはこのやり方で練習してみて下さい。

先程の意識で練習出来る様になったら、以下の事にも注意してやってみて下さい

・7拍吐いている時に、ずっと一定の息の量を吐き続ける(途中で息が多くなったり少なくなったりしない。残り肺活量が少ない時に、特に変わりやすいです)

・7拍の間で、ちょうど息が吐ききれる様に吐く息の量を調整する

・息を吸う時は出来るだけ短い時間で吸う(1拍間全て使わない)

これを安定して行える様になれば、ブレスコントロールに関してはほぼ問題無くなります。

 

③ この項目と次の項目は、時々当てはまる方がいるレアなケースです。

音程移動の際に正しい音程にすぐたどり着けず、声の頭だけがブレてしまう事があります。

特に、正しい音程を通り過ぎて上がり過ぎて/下がり過ぎてしまう癖がある方だと、この現象が起こりやすい様です。

 

練習法としては、【音程編】各項目の練習法と傾向の記事で取り上げた②番の「輪状甲状筋」のトレーニングがお勧めです。

詳しい練習法は先の記事をご覧頂ければと思いますが、このケースの場合輪状甲状筋のコントロール力を鍛える必要があります。

そのため、移動する音程を1オクターブきっかりにして頂き、音程がズレない様にしながら練習してみて下さい。

まずはゆっくりから、徐々に速くしていき、その中で絶対に音をしゃくり上げたりせずまっすぐ狙って下さい。

 

④ この項目は、一番レアなケースとなります。

歌詞を発音するにあたり、口や舌の形が安定しない為声がブレる事があります。

これは、口や舌の形の変化が直接の原因ではなく、それによって声の当たり場所(①の項目)が狂う事で発声が不安定になる様です。

 

対策として①の練習でも良いですが、併せて口の動きを安定させる練習もしましょう。

やる事としては

 

・早口言葉(何でも良いです)を、出来るだけハッキリした発音で読む(この時、口をとても素早く動かす感覚があると思うので、それを感じながら行なえると良いです)

→上記の感覚や発音の明瞭さを維持したまま、徐々に言葉を伸ばしていく(すると発音の瞬間に口の形が決まり、それがそのままキープされると思います)

→その発音のやり方のまま、曲の歌詞を同じ様に読む

 

あとはこのやり方のまま音程を付けて歌うだけです。

そうすると、歌詞を発音する瞬間のみ口が動いて、あとは一定の形のままでいられると思います。