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■ボイトレ界のホットワード「ミックスボイス」 このミックスボイスについての見解をまとめました。
発声学概論 | ミックスボイスのしくみ1 |
この項目の解説動画 | |
【音声医学×ミックスボイス】ミックスボイスの誤解と真実!?学術的見解と攻略メカニズム!!【座学解説編】はこちら |
この項目における学習内容 | |
ミックスボイスの認識 | |
地声と裏声 | |
ミックスボイスとは | |
移行部分の重要性 | |
移行部分をつなげる訓練方法 | |
移行部分の強化 | |
注意点1:内筋の固着 | |
注意点2:内筋と声帯閉鎖の混合 | |
注意点3:声種という思い込み | |
注意点4:共通の筋運動感覚は発見されていない |
この項目の到達目標 | 到達確認 |
ミックスボイスとはなにか、なんとなくのイメージができる | |
地声と裏声の調整機能の重要性がわかる | |
地声と裏声の調整機能を習得するための訓練方法がわかる | |
移行部分の注意点がわかり、意識しながら訓練が行える | |
移行部分の安定性獲得→強化のステップを意識した訓練が行える | |
注意点を忘れずに訓練に取り組む事ができる |
◆ミックスボイスの認識
一般的な認識 : ハイトーンを出すための声の種類。独立した声区があると思われている
正しい認識 : 地声と裏声を行き来するための調整機能。独立した声区ではない
※声区とは… ※詳細は関連記事を参照
その声を出すための独立したメカニズムがあるもの
現在は地声と裏声の2声区論が正しいとされている。
例)地声=内甲状披裂筋(内筋)の活動により倍音成分が増加した声、など
◆地声と裏声 ※詳細は関連記事を参照
・地声 = 内筋の活動によって倍音成分が増加した声の事
・裏声 = 内筋の活動低下によって倍音成分が減少した声の事
→地声と裏声は全く別種の声ではなく、内筋の入り具合によって変化する表裏一体の声
内筋が入れば入るほど地声、抜ければ抜けるほど裏声になって行くしくみ
◆ミックスボイスとは = 地声と裏声の調整機能
・地声の機能のみでの音程上昇 = F4付近で限界を迎える(男女問わず)
・徐々に裏声の機能を働かせていく事でF4以上の音程を出す事ができる
・ミックスボイスとは…
本来繋がっている地声と裏声を滑らかに行き来するための機能そのもののこと
地声100%→地声/裏声50%→裏声100%の様に地声と裏声のバランスを調整する働き
発声を崩さず調整するため、喉の全機能をコントロールする必要がある
◆移行部分の重要性
・移行部分 = 地声と裏声の境界部分の事 上記の地声/裏声50%の様なイメージのポジション
一般的に「換声点」と呼ばれる概念に近い
・出しやすい声 → 通常使用している地声&裏声
・出しにくい声 → 通常より内筋の弱い地声(より裏声に近い地声)
&通常より内筋を入れた裏声(より地声に近い裏声)
・そのため移行部分に近づくほど不安定で出しにくい声となる
◆移行部分をつなげる訓練方法 = レジストレーション ※詳細は関連記事を参照
・レジストレーション = 裏声「ウ」→地声「ア」→裏声「ウ」を滑らかにつなげる訓練
移行部分ほどゆっくり、声量を落とす事でつなげる難易度が下がる
基本の方法は裏声と地声の音程差を1オクターブつけて行う「オクターブレジストレーション」
上位訓練法として、裏声と地声を同じ音程で行き来する「メッサディボーチェ」がある
◆移行部分の強化
・移行部分が繋がる様になったら声量の強化を目指す
移行部分を強く扱えるほど、より強いハイトーン発声が可能になる
・安定してつなげられるMAXより強い声量では、歌唱は困難だと考えた方がいい
安定してつなげられるMAXの声量=現在扱える最大の声量ということ
その声量を越えた発声では喉のコントロールが出来ず発声は崩壊したり不安定になる
・移行部分の声量強化 = 安定して扱える声のキャパシティアップとなる
◆移行部分の強化方法
・レジストレーション訓練
まずはひっくり返らずつなげられる事 → 徐々に移行部分の声量を上げていく
・裏声の純化訓練
裏声の機能向上+裏声の分離が進むことで喉の全パーツのコントロール力が向上する
・裏声の閉鎖訓練
【裏声の機能+声帯閉鎖】と【地声の機能】の混合状態をほどく訓練
閉鎖や音程上昇をしても内筋をコントロールできる→不用意な喉詰まりを防げる
・裏声の音域拡張訓練(特に低音)
高音は音程上昇機能の向上 低音は裏声の純化と粘膜波動機能の向上
◆4つの注意点
注意点①:内筋の固着 → 内勤が微調整できず、安定感が低下する
固着 = その筋肉が凝り固まってほどけなくなっている状態 細かな調整が出来なくなる
固着の原因:ある一つの声を使い続ける事で、そのポジションから移動できなくなる
※ずっと腕に力入れたままで過ごすと、その後力がほどけなくなり柔軟に動けないイメージ
対策方法 → 裏声の純化訓練
注意点②:内筋と声帯閉鎖の混合 → 声帯閉鎖と一緒に内筋が入ってしまいバランスが崩れる
混合 = 2つ以上の機能を別々にコントロールできなくなる状態
例)内筋をほどきながら声帯閉鎖がかけられない → 閉鎖をすると声のバランスが崩れてしまう
対策方法 → 裏声の閉鎖訓練
注意点③:声種という思い込み → 固着の原因となる事が非常に多い
ミックスボイスという限定した声種は存在しない
「この声がミックスボイスだ」と思い込んで使い続ける → 上記の固着現象が生じる
→細かな調整機能が失われ、どんどん声が出なくなってきてしまう
※大御所歌手の音域低下の多くはこれが原因のため要注意!!!
注意点④:共通の筋運動感覚は発見されていない
筋運動感覚 = 筋肉が運動を起こすときに感じる感覚の事
例えば鼻腔共鳴で発声する、声を前に押し出すなどはすべてこの筋運動感覚となる
発声において、万人共通の筋運動感覚は見つかっていない
→様々な媒体で見る感覚的な訓練法はアテにならないため、参考程度に留めておくことが重要
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