◆相談者様
歌を聴いてアドバイスやコメントが欲しい男性
◆質問相談内容
「花束の代わりにメロディーを / 清水翔太」を聞いてアドバイスをして欲しい。
◆回答内容
動画拝見しました!
めちゃめちゃ上手ですね!正直趣味で歌っている方ならもう十分なんじゃないかと思うレベルですよ!
それでもあえて言うならという所は何点かあるのですが、お伝えした方がいいですか?笑
正直プロを目指す方向けのレベル感になってしまうと思うので「そう言うのは聞きたくない!」という人も多いのですがいかがでしょう?
◆相談者様からの返答
言って欲しい
◆回答
承知しました!それではちょっとガチモードのコメントをさせていただきますね!
前提として「十分上手だ」というのは忘れずに聞いてくださいね!笑
まだ一度しか聞いていないので、目立つ点のみに着目してお伝えしますね!
①恐らく高音の地声がやや苦しくないでしょうか?(特にイ行)
高音域の安定感をもう一歩つけたいです。
②裏声の抜けがもう一歩あるとさらに良いと思います。
③コブシをかけている箇所が多いと思いますが、その時にピッチのズレがよく起こります。
④音程、リズム、発音など、歌のキレを全体的に上げたいです。
⑤全体的な声の通りを鍛えると更にプロの様な声になって良いと思います。
それぞれ練習法を一つずつ紹介しますね!
・①高音域の安定+②裏声の抜け
二つの課題に対して有効なアプローチとして「強調対比」というテクニックがあります。
出来るだけしっかり響きのある地声と、出来るだけ詰まりや掠れのない綺麗な裏声を可能な限り素早く行き来する訓練法です。
イメージとしてヨーデルに近い感じですね。(地声と裏声をコロコロ入れ替える)
強調対比のやり方は
1.しっかり響く息漏れのない地声を出す
→最初は出しやすい声質で、言葉もなんでも良いです。
余裕が出てきたら「細い地声のイ」「太い地声のオ」でそれぞれ出しましょう。
2.裏声にひっくり返す
→この時、可能な限りひっくり返りが大きくなるように(盛大にひっくり返るように)裏声にしましょう。
最初は喉が詰まってしまい、あまり思い切りひっくり返りが起こせなくて地声と裏声が繋がったような感じになったりするかもしれません。
ひっくり返りの動作が大きいほど良い訓練だと思って下さい。
また、この際ひっくり返った先の裏声は出来るだけ
・響きのある息漏れのない声
・詰まりやガラガラのない声
を目指しましょう。
3.同じく盛大にひっくり返しながら、今度は元の地声に戻す
→元々の地声と同じ声質、音程、声量の地声に戻します。
2と同様盛大にひっくり返りが起こることが大事です。
恐らく最初は元の地声より音程が下がったり上手く地声に戻せなかったりするかと思います。
4.上記の流れをひたすらスピードを上げて繰り返す
→余裕が出てきたら、地声と裏声の音程をそれぞれ高くしていきましょう。
目安として、歌で使う地声の高さは全て強調対比がスムーズに出来る事。
そうする事で、発声の全体的な安定感や楽さが強化されます。
これが強調対比のやり方となります。
・③コブシ時のピッチのズレ
例えば最初の「君を思ってばかりで」の「か」とかで起こるズレのことです。
コブシって「目標音の一つ上の音→目標音」という動きをめちゃめちゃ速く行うテクニックなのですが、このテクニックをする事で「目標音」「目標音の一つ上の音」のどちらかのピッチがズレると言うのはよく起こります(例の場所の場合は目的音が高くズレています)
普段のレッスンならもう少し良い指導法もあるのですが文字だけだと限界があるので「コブシをかけた音を伸ばして歌う練習」をしてみて下さい!
今回の例であれば「君を思ってばかりで」の「か」の音がズレています。なので「君を思ってばかーーーりで」の様に伸ばして歌ってみて下さい。
コブシをかける時にピッチがズレる一番多い原因が「目標音の一つ上の音→目標音」の二つの音をきちんと狙えていない事です。
コブシはかなり素早いテクニックですから、どちらかの音に対する意識が疎かになってしまうんですね。
その為今回のような目標音のズレに対しては、目標音である「か」の音を伸ばすことで意識せざるを得ない状態を作るのが手っ取り早いです。
対面でないとコブシのピッチズレに対するアドバイスが難しいので、このレベルのコメントになっちゃって申し訳ないです!よければ試してみて下さい!
・④歌の全体的なキレを良くする
音程:今出している音から次の音に移動する時の速度が少し遅めなため、音程を線で表現した時に曲線のような動きになっています。
基本的には音程移動は出来るだけスピードを上げて、線で表すとカクカクとした線になるような動きが理想です。(文字だけだとイメージつきにくいかもなので、わかりにくかったら言ってください汗)
リズム:ごく細かなリズムのズレが気になります。例えば「ほんの少しのためらいに立ち止まって愛の痛みを知ったよ」のフレーズなら、
・ためらいの、の「い」が早い
・愛の、の「の」が遅い
・痛みを、の「を」が早い
などです!(他にもありますが、恐らくこの3つは意識してズラしているわけではなさそうなのでここを挙げました)
わざとリズムをズラすテクニックもありますが、基本的には「ワザとズラして無いところはビシッと合わせる」のが歌の基本となります。
練習法として、メトロノーム(無料アプリとかで良いです)を使って声と合わせる練習をしてみましょう。
メトロノームが「ピ」とかって鳴るタイミングで、声を「ピ」などと出すだけです。
この時声は一瞬しか出しちゃダメ(短いほど良い)というルールで行い、短く出すために「パ」行でやるのが良いでしょう。パ行は日本語音では一番短く発声できるので。
メトロノームと完全に同時に声を出せれば、声とメトロノームの音が重なって自分の声しか聞こえなくなります。
リズムのズレが起こると「ピピっ」みたいに微妙にふたつの音がズレて聞こえるはずなので、「完全に自分の声しか聞こえない状態」をどれだけ連続でキープ出来るか、ゲーム感覚でチャレンジしてみて下さい。
発音:子音や母音を作るスピードが少し遅めなため、音程の所と同じように言葉の移動が曲線的になっています。
言葉も「わざと遅く表現するところ以外は素早く変化させる」のが基本のため、意識的に素早い言語変化をして歌ってみましょう。
その際に、速く言葉を変えようとすると普段と違う変な発音になってしまうことが多いです。
イメージとしては「大きな口でカエルの歌を歌う小学生」みたいな(イメージしにくいかもですが)発音の仕方になってしまう事が多いので、出来るだけナチュラルな発音のまま素早く言葉を変えられるようにしましょう。
・⑤全体的な声の通り
これに関しては完全にボイストレーニングの領域になります。
・裏声の低音(第一目標は持ち歌を全て裏声で歌うこと)
・地声のロングトーンの長さ(第一目標は50秒程度)
・ホイッスルボイス(出せれば強力な訓練になります)
まずはこの辺りをチャレンジしてみると良いかと思います。
詳しい仕組みは割愛しますが、声の通りは声帯の閉鎖によって生まれます。
上記の訓練は全て、良い感じに声帯閉鎖を鍛えてくれる系のメニューです。
ぜひ出来るものからやってみて下さい!
以上、大量になってしまい申し訳ないですが興味の湧いたものからチャレンジしてみて下さい!
本当はレッスンで直接指導できればもっとたくさんやれるのですが、文字だけで伝えるのは限界があってこんな感じになっちゃいました、申し訳ないです!
その後相談者様からのお返事はなく、やり取りは終了しました。
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