アンザッツを用いた発声訓練

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■発声訓練における手段として非常に効率的なアンザッツ訓練 そのアンザッツを用いた発声訓練の概要を解説します。

実践発声学 アンザッツを用いた発声訓練
この項目の解説動画
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この項目における学習内容
アンザッツとは
アンザッツを用いた発声訓練
発声訓練の3領域
分離訓練におけるアンザッツの効果
強化訓練におけるアンザッツの効果
再融合訓練におけるアンザッツの効果
3領域の訓練による発声能力向上
この項目の到達目標 到達確認
アンザッツとはなにかわかり、アンザッツを使用する理由が理解できる
発声訓練の3領域がわかり、各領域におけるアンザッツの使い方の概要が理解できる
発声訓練の3領域とアンザッツ訓練による発声機能向上のメカニズムが理解できる

◆アンザッツとは

 

 アンザッツ = 主にフースラーメソッドという流派で使用されている7種の発声法の事

 それぞれの発声法が、発声に必要な各筋肉の活動を促進する効果がある

 この7種の声を鍛える事によって、ほぼ全ての発声機能を網羅的に鍛える事が出来る。

 

 各アンザッツの詳細は関連記事を参照

 

 

◆アンザッツを用いた発声訓練

 

・アンザッツを用いた発声訓練

 →7種のアンザッツを鍛える事で発声関与筋を満遍なく活性化させる事。

  分離・強化・再融合という3つの領域で発声機能を鍛えていく。

 

・アンザッツを鍛える = 各アンザッツそれぞれの声種をより正しく発声していく訓練。

 

  各アンザッツには、それぞれに声質の特徴がある。

  それぞれの声種を正しく発声することで、そのアンザッツに対応した発声機能が鍛えられていく

  必要な発声機能が不足している場合 = そのアンザッツは正しい声質で発声出来ない

  →各アンザッツを正しい声質に近づける訓練によって、対応した発声能力が鍛えられていくという事。

 

 

◆発声訓練の3領域 = 分離・強化・再融合の3領域

 

・分離訓練 :各アンザッツの声質を出し分けていく訓練。

       それぞれの声同士を「どれだけ違う声質で出せるか」を鍛えていく。

・強化訓練 :分離した声について、それぞれの声質の特徴をより顕著にしていく訓練。

       各アンザッツの声を「どれだけ特徴を色濃く出せるか」を鍛えていく。

・再融合訓練:分離・強化したアンザッツ同士をスムーズに連絡していく訓練。

       声を分離・強化するほど表現の幅が広くなると共に、声同士の行き来が難しくなる

 

 

◆分離訓練におけるアンザッツの用途と効果

 

・分離 :各アンザッツの機能同士の混合をほどいていく事。

     混合=2つ以上の働きをバラバラにコントロールできなくなっている状態の事。

 

 よくある混合状態の例

 

 ・地声と裏声の混合状態 = 裏声発声時に地声系の筋肉が勝手に働いてしまう。

               &地声発声時の内甲状披裂筋(地声の響きを作る筋肉)の働きが弱い。

               →どんな発声でも常に地声系の筋肉による負荷がかかってしまう。

                &綺麗な裏声も力強い地声も出せなくなってしまう。

 

  地声と裏声の分離 : 裏声系アンザッツによる発声訓練で地声系の機能を裏声から分離

             地声系アンザッツによる内甲状披裂筋強化でより力強い地声の獲得             

 

 ・地声と閉鎖の混合状態 = 声帯閉鎖時に地声系の筋肉が勝手に働いてしまう。

               →声量を出すと勝手に喉が詰まる、声量を下げないと高音に上がれない。

                などの声量と声質のコントロールが困難になる。

 

  地声と閉鎖の分離 : 裏声系アンザッツでの閉鎖訓練で地声の働きに依存しない閉鎖機能の獲得

 

 

◆強化訓練におけるアンザッツの用途と効果

 

・強化 :各アンザッツの特徴をより顕著にすることで発声機能を鍛える事。

 

 例)アンザッツ5の強化の場合

 

   アンザッツ5 = 細く鋭い純粋な裏声

 

   アンザッツ5の強化 = より細く鋭い声質/より地声系の働きの無い純粋な裏声 にしていく

               →細さの強調:声帯閉鎖促進効果

                裏声の純化:地声と裏声の分離、音程上昇促進効果 が得られる

 

 

◆再融合訓練におけるアンザッツの効果

 

・再融合:分離・強化した各アンザッツ同士をスムーズに連絡していく事。

     声の分離・強化が進むほどそれぞれの声同士の連絡難易度が上がって行く。

 

 例)地声と裏声の再融合の場合

 

   分離・強化の進んでいない状態 = 裏声発声時も勝手に地声の機能が働いている状態

                    地声発声時も強く地声系の機能が働いていない状態

                    →2つの声同士の状態が近いので連絡は比較的容易

                     しかし扱う事の出来る声の幅が狭く弱々しい状態

 

   分離・強化が進んでいる状態 = 裏声発声時に地声系の機能が働いておらず、綺麗な裏声

                   地声発声時に地声系の機能が強く働き、力強い地声

                   →2つの声同士の状態が大きく異なるため連絡が困難

                    しかしそれぞれの声はパワーアップしており、表現の幅が広い

 

   地声と裏声の再融合 = よりパワーアップした地声と裏声を連絡していく。

               →発声訓練前より幅広い声種を使いこなせるようになる。

 

 

◆3領域の発声訓練による発声能力向上

 

 各アンザッツによりほぼ全ての発声機能を網羅することが可能となる

 →上記の分離・強化・再融合訓練を進める事で、どんな声も自在に扱える発声能力が獲得できる。